悪の泥沼から立ち直った熱血児と、乙女の愛に悶えつつ麻薬のとりことなった男が大都会の暗黒街に悪の陰謀をぶち破る凄絶アクション篇。
神戸の夜。「イカサマはごめんだぜ」無宿男の良次が叩きつけた一枚のカードで、秘密の賭博場は大騒ぎとなった。次第に暗闇の路地に追いつめられたそのとき、良次にすり寄った黒い影から「これを使いな」と拳銃が渡され、彼は危機を脱した。それから二年。堅気になった良次は、銀座のキャバレ―・エトアールでバーテンとして働いていた。そこには神戸時代の親友で歌手の梅田もいた。良次は洋裁店フローラで働くルミと知り合い、淡い愛情を感じはめていたが、ルミには行方不明の愛人がいると知り、諦めようとするのだった。エトアールの支配人・長沼は社長の黒谷と組み麻薬の密売をしていたが、売り手の権藤から大量のヤクの取引きを受けると、黒谷を騙して丸儲けしようと企んでいた。良次の度胸と腕ッぷしの強さは、麻薬の運び人を探していた長沼の目にとまっていた。横浜のホテルにのりこんだ長沼と権藤は、取引きすると見せかけて麻薬を強奪した。何も知らずに同行を命ぜられた良次は、帰途、車の中で不吉な予感に襲われた。数時間後、フローラの経営者・夏江のアパートで黒谷が消された。翌日、社長代理におさまった長沼からヤクの運び人を命じられた良次は、憤然として拒否した。エトアールを辞める決心をした良次は、ルミにも店を辞めるよう電話し迎えに行ったが、店にルミの姿は既になかった。「ルミは預ったぜ」長沼の電話に、良次は自分が恐るべき陰謀に舞い込まれたことを知った。