ライバルの新聞記者二人が密輸組織の内幕を暴いていく。鈴木清順監督によるサスペンス・アクションでカメラワークが冴える。『事件記者』の永井智雄が新聞社のキャップ役で出演。
港に張り巡らされた国際密輸組織の網。これが戦後最大の組織と言われた“香港-東京0ライン”だ。その謎のルートをつかもうと、捜査当局は躍起になっている。それを追う極東新聞の記者・香取耕一のあくどいまでの取材手段には、彼の親友であり、競争紙である日東新聞の記者・仁科達男も密かに眉をひそめていた。ある夜、麻薬密売ルートに警視庁の手入れが行われた。駆けつけた仁科は、そこに香取の姿を見つけるが、逮捕された密売人の中に香取と同じ学友の佐伯を見つけハッとした。「香取、おぼえていろ!」憎悪に燃えた眼で香取を罵った佐伯は、次の瞬間舌をかみ切って自殺した。香取は佐伯の妹・玲子に近づき密輸ルートを探り出すと二人を裏切り、警察にバラしてまんまとスクープしたのだ。「あまりに酷いやり方だ・・・」仁科ばかりでなく、香取の妹・寿美子も兄のやり方に憤慨していた-。