国際密輸組織の犠牲になった兄と、許婚者のために敢然立った青年の熱情を、守屋浩のヒットメロディと共に描く歌謡活劇
青空の甲州街道を東京に向かって突っ走る一台のトラック。そのハンドルを握る一郎、二郎の張り切り兄弟。東京のアパートでは近く洋裁学校を卒業する治子が二郎を待っていた。二郎はこの治子と結婚し、一郎と共に独立して甲府で運送業を始めるつもりだった。だが、その夜、この三人の頭上に不吉な黒雲が舞い狂った。治子を乗せた一郎のトラックが酔っ払い運転で電柱に衝突し一郎の命を奪ってしまったのだ。「おかしい。兄貴はそんな酒の呑み方をしないはずだ」疑念を抱いた二郎は、一郎が死ぬ直前立ち寄ったというバー「ブランシュ」を訪ねた。だが、マダムの加代にも彼の泥酔の原因は分からなかった。さらに不思議といえば同乗していたはずの治子の姿が見えなくなってしまったことだ。その治子は同じ頃、蒼白な顔で加代の部屋に匿われていた。治子は、酔った一郎が運転中に迫って来たのを突き飛ばした弾みにハンドルを切り損ねたため、一郎の死の原因は自分にあると思い詰めていた。加代はそんな治子に、二郎としばらく会わない方が良いと言い、香港で新しく開く洋裁店で働いてみたらどうかと勧めるのだった…。