国道を荒らす車輪の暴力に対抗する熱血児と白バイ警官の姿を力強いタッチで描く異色スピードドラマ。
テストライダーの朝見達郎が、試運転場で時速二百四十キロのスピードで単車をブッ飛ばしていたころ、白バイ警官の兄・一郎は、速度違反の砂利トラックに追突し、瀕死の重傷を負った。病院に急行した達郎に、白バイ隊長の岡と一郎の同僚・松本は「曲り角でトラックにオカマをくらったが、写真が完全に撮れていないためナンバーを識別できない」と説明した。オカマとは、追われていることを知ったトラックが白バイを接近させたあと急停車し、追突させて警官を殺してしまう惨酷な報復手段だ。一郎の白バイにつけられた特殊カメラから五七年型ダンプ・カーで、尾部にMの頭文字が書いてあることが判明した。捜査指令が全部の白バイにゆきわたったが、何の手がかりもつかめないまま数日が過ぎた。テストライダーをやめた達郎のもとを玲子が訪れた。達郎を兄のように慕い、オートレースの選手になった玲子の弟・律に、危ないから選手をやめて家へ戻るよう説得してほしいという。オートレース場では連戦連勝の律に人気が集中していたが、黒幕であるボスに操られた輝かしい戦績に嫌気がさした律は、わざと脱落した。この大番狂わせのためボスの手下に殴り倒された律の元へ達郎と玲子が駆けつけたが、自暴自棄になった律は飛び出していった。数日後、国道を突っ走る砂利トラックの中に、自ら例のトラックを探す決心をした達郎の姿があった。ある日、彼は運転手に“街道の政”という暴れ者がいると聞いた。“頭文字はMだ”達郎は緊張した…。