けものの眠り
けもののねむり

ふとしたことから人生の岐路を見誤ってしまう人間の心情を、事件を追う敏腕記者を通して描く。新興宗教を題材に取り入れた鈴木清順監督のサスペンスで、長門裕之が清順作品に初出演している。

東洋新聞社会部記者の正太郎は恋人の啓子に頼まれ、ある人物の行方を追っていた。啓子の父、順平だ。順平は善良な人柄で品行方正な人物だったが、香港から帰国後、退職金の三百万を持って謎の失踪を遂げたのだ。普段の生活からそんな様子は全く見られなかったため手掛かりがなく途方に暮れていたが、渋谷のとあるバーから「順平さんから指輪を預かっている」との連絡が入る。早速正太郎はバー「エメラルド」を訪ね情報を得ると、その夜順平と一緒にいたという男を尾行する。しかし正太郎は意外な事件にぶつかる。尾行していたその男は旅館で女と心中を図ったのだ。唖然とする正太郎の元に啓子から電話が入る。「パパから電報があって、明日帰るって―」正太郎は何かおかしいと思いながらも啓子の元へ戻る…。

日本
製作:日活 配給:日活
1960
1960/4/9
モノクロ/7巻/2330m/85分/シネマスコープ・サイズ
日活
千代田区(サンケイ会館内の喫茶店)/新宿区(都電32番系統早稲田停留所付近)/渋谷区(宮益坂・国民相互銀行渋谷支店付近)/品川区(五反田・目黒川付近の花街)/世田谷区(世田谷代田~梅ヶ丘間を走る小田急線ロマンスカー)/杉並区(明大前~永福町間井の頭線陸橋上、永福1丁目明大和泉校舎付近坂道)【神奈川県】横浜市(横浜港大さん橋、中華街・順海閣と海員閣のある路地、伊勢佐木警察署前、日ノ出町、麦田トンネル付近市電通り、長者町1丁目交差点と横浜市電、伊勢佐木商店街・不二家横浜センター店前、同・今野時計店前、新港橋梁、みなと大通り)