ある脅迫
あるきょうはく

狂言か真意か、支店次長の銀行強盗事件をめぐって火花散らす二つの心理、人間性の深淵に恐怖を呼ぶ異色スリラー。

北陸第×銀行直江津支店次長・滝田恭介は、本店の業務部長に栄転することになった。頭が切れるうえ、浮いた噂一つ立たない彼は社内外を問わず人望が高かったし、妻が頭取の娘であることも出世を早める一つの要因となっていた。滝田の送別会が料亭で盛大に行なわれたが、その賑やかさから離れ一人ぼつんと座っている男がいた。滝田とは正反対の貧相な男だったが、中学時代には滝田と机を並べていた庶務係の中池だ。滝田の妻は、元はといえば中池の恋人だった。それを滝田が奪ってから、彼の黄金の人生街道が開けたのだ。宴会の帰り道、滝田の前に眼つきの鋭い男が立ち「300万円は出来たろうな」と言うと、滝田の顔からは血の気が消えた。彼は東京出張の帰りに拾ってきた女を養うため、印鑑を偽造して浮き貸しをしていた。その秘密を握ったヤクザの熊木にゆすられていたのだ。「金なら銀行にあるじゃねえか」と、熊木は滝田に拳銃を手渡した。金を手渡す期限は明日の朝6時に迫っていた。金が出来なければ警察と会社へ全てを訴えると脅され、滝田は追いつめられた。そのとき滝田に、ある計画が浮かんだ。“今まで俺は中池を利用し続けてきた。最後の最後まで、利用してやれ”。滝田は、その日宿直だった中池を無理に飲み屋へ引っ張り出し…。

日本
製作:日活 配給:日活
1960
1960/3/20
モノクロ/66分/シネマスコープ・サイズ/6巻/1791m
日活
【新潟県】上越市(直江津駅)