春まだ浅い深夜の東京、東都信用金庫世田谷支店に銀行強盗が発生。犯人は四人組で逃走間際に巡察中のパトカーに発砲、警察官一人を射殺、一人に重傷を負わせたが犯人の一人も負傷、金を持って現場付近に潜伏中の見込み…というのが事件の全貌だった。城南署に特設された合同捜査本部は負傷した犯人と、自動車で逃走した三人の足取りを懸命に追求したが容易に掴めなかった。警視庁の佐藤保郎部長刑事は、この事件の手口が二年前に保郎の父である城南署の佐藤源造刑事が挙げた銀行ギャング未遂事件に酷似していることに気が付いた。源造も同意見だったが、二年前の事件で手先に使われ源造が更生させた高木勉という少年が事件現場近くのガソリンスタンドで働いていることから、勉が犯人を匿っているのではないかと疑った保郎を引き留め、源造は単身勉を訪ねることにした…。