麻雀狂の一青年が麻雀賭博の蔭に仕組まれた巨額の砂糖疑獄を嗅ぎつける…五味康祐の異色作「両面で待つな」映画化
多田安夫は、貿易会社“角菱商事”の社員で社内では腕利きの優秀社員として通っているが、並外れた麻雀狂としても有名だった。恋人の美也子にとって多田の麻雀は近頃悩みの種となっていた。ある土曜日の午後、いつものように仕事と称して美也子とのデートを取り消した多田は、同僚と連れ立って行きつけの麻雀荘へ行ったが、そこで佐藤と名乗る男から麻雀仲間の菅原が急死したと聞かされるのだった。多田は、勝負中に喀血して死んだという麻雀狂にふさわしい菅原の最期に深い興味を覚えるのだった。その夜、菅原の恋人肖子をバー“シロ”に訪ねた多田は、肖子が菅原の死因について疑問を抱いていることを知った。多田は、肖子が菅原との思い出を秘めるオルゴール付きのライターを探しに、彼のアパートへ行くと聞き同行することを約束した。翌日、多田は課長の依頼で偶然にも菅原の勤めていた商社“ボルネオ・セラマン商会”へ取引に出掛けたが、社長のバーモンからも菅原の話を聞き、さらに興味をそそられるのだった…。