雑草のような命
ざっそうのようないのち
金沢を舞台に、唯一の恋に身を捨てた少女の悲しい運命を描く。浅丘ルリ子が薄幸のヒロインに扮した純愛ロマン。
城下町金沢。待子と純一は金沢市の高校に通う仲良しグループの一員だった。純一が何一つ不自由しない家庭に育っているのと違って、待子の家では父親が手を怪我して失職、間借りしている伯父の家からも追い立てをくっていた。待子は退学し、学友さと子の伯父が経営する紡績工場で女工として働くことになった。父親は屑鉄拾いまで身を落として一家は細々と生活していた。勝気な姉の郁江は恋人と大阪へ逃げ出してしまい、母親の久子は無理がたたって胸を病んでしまう。生きる力を失った父は母と幼い弟を道連れに、湖に身を投げてその命を絶った。一人この世に残された待子は純一の父親に引き取られた。洋裁学校にも通えるようになり、待子は元気を取り戻した。しかしこの幸せも長くは続かなかった。優しく面倒を見てくれた純一の父・完一が亡くなったのだ。父親のいなくなった今、いつまでも純一の家に世話になっているわけにもいかなかった。いつしか待子を愛するようになり、大学受験を前にして物思いに沈む純一のためにも、彼女はこの家を出ていこうと決心した。待子は遠い親戚にあたる、未亡人サヨの家に引き取られることになった。春がきて純一は東大に合格した。純一は東京へ行き、二人の愛は手紙によって繋がれていた。しかしある日、サヨの留守中に待子は村の青年たちに襲われてしまう。「この身体は純一さんのものだ」彼女は必死に抵抗し、男たちはひるんで逃げるが…。
日本
製作:日活 配給:日活
1960
1960/1/21
モノクロ/8巻/2489m/91分/シネマスコープ・サイズ
日活
【石川県】金沢市(桜橋付近川岸町、金沢洋裁学院、彦三商店街・喫茶モリナガ、北安江町古川農機具工業、金沢城址、兼六園、金沢公会堂、寺町バス停、北陸線列車内、犀川)/河北郡津幡町(津幡駅)
【東京都】目黒区(駒場・東大)/大田区(池上本門寺)
※金沢ロケは1960年12月15日~20日