ジングルベルのメロディが流れる師走の東京の街。今夜は恒例の警視総監歳末巡視がある。ここ警視庁の桜田記者クラブからは相沢キャップの声が電話声が聞こえてくる。「伊那ちゃん、ご苦労さん、どう、巡視の具合は?…そんなお大名行列が通っちゃ事件も逃げるだろうね……」だが、そのころ、不思議な殺人事件が起こっていた。お濠端を走っていたタクシーの運転手が突然苦しみ出し、血へどを吐いて死んだのだ。110番の急報にクラブは俄然色めきたった。――死因は青酸カリ中毒。自殺でも強盗によるものでもない。被害者の傍に食べかけのケーキの箱があった。そして毒はそのケーキに入っていたのだ。数時間後、捜査当局は一人の浮浪者から意外な事実を聞きだしていた。……市ヶ谷駅前で終バスの出たあと、停留所のベンチにケーキの箱が置いてあった…それを通りがかりのタクシーが拾っていった…という。ケーキは他の誰かを殺す目的であると睨み、終バスの車掌と客を洗うため菅は飛び出していった。しかし、そのころ深夜の郵便局に第二の殺人事件が起こっていた…。