昼下りの暴力
ひるさがりのぼうりょく
暗黒街の怖るべき殺人。悪の泥沼に落ち込んだヤクザが辿る、血みどろの欲望の末路を描いた戦慄のアクション巨篇。

暗い夜の操車場で数人のチンピラと乱斗していた坂本組の二郎は、次第に追いつめられた。いよいよ危いとみえたその時、坂本組一の乾分・鈴木定夫(通称・定)がチンピラを叩きのめした。その夜、ボスの坂本に呼ばれた定は、新興ヤクザに押され倒れかかった坂本組を立て直すため、麻薬取引を頼まれた。この大仕事を引受けた定は「ボスを裏切るんだが、俺と組まないか」と二郎を誘った。若い二郎は反対したが、自分を可愛がってくれる兄貴の自信に満ちた言葉に惹かれる気持ちをどうしようもなかった。雇った殺し屋の三田も加えた三人が車で箱根の山奥へ向かうと、そこには既に三ツの黒い影が待ち構えていた。現ナマの入ったボストン・バックとヘロインを交換したかに見えたとき、定と三田のピストルが相手の男たちを射殺した。次の瞬間「一人で貰ってゆくぜ」と定のピストルを叩き落した三田だったが、定の小型ピストルに射たれ、暗い谷間に呑まれていった。血まみれの二郎から、相手のダマシ討にあって麻薬も現ナマも奪われたと報告を受けた阪本は、それが定の裏切とも知らず愕然とした。山中の死体と谷底に転落していた重傷の三田を発見した警察に、三田はガンとして真相を語ろうとしなかったが、刑事たちが部屋を出たスキに関西の刺客・深見が現われ、三田から事件の真相を聞き出した。その夜、深見から定の裏切りを聞いたボスの坂本の顔に、はじめて殺意がよぎるが-。

日本
製作:日活 配給:日活
1959
1959/12/16
モノクロ/8巻/2241m/82分/シネマスコープ・サイズ
日活
【神奈川県】箱根町(長尾峠)
【千葉県】木更津沖・第二海堡