0番街の狼
ぜろばんがいのおおかみ

暗黒の港町を舞台に、麻薬密輸や殺人など悪の限りを尽くす夜の群狼に対決する税関員の凄絶な死闘を、スリルとサスペンスで描くアクションドラマ。

国際都市ヨコハマ。その波止場に現われた不敵な面構えの男は、香川政夫。彼は親友である古橋健次を訪ね神戸からやってきたのだが、意外なことに健次はアパートで放火自殺を遂げていた。焼跡に立つ政夫と同じように、思いつめた表情でその場に立ちすくむ若い女がいた。後を追うと、何かを予期するかのように彼女は政夫を待ち構えていた。殺し屋と誤解されていたと知った政夫は苦笑したが、女が健次に似ていることに気づいた。彼女は健次の姉・美加だった。しかし彼女からは「姉であることを知られたら殺される」という謎の電話が健次からあったこと以外聞き出せなかった。浜谷港運の沖仲仕となった政夫は、ある夜、鮫島という男を尾行した。鮫島はかつて健次と親しく、行動は数々の疑問につつまれていた。鮫島の行先は、元町プールだった。そこでは混血娘のアイリン・利根、浜谷港運の商売仇である極東交易の社長・三原が彼を待っていた。三原の顔を見た政夫は、ハッとなった。崔仙貞に違いない。崔は香港から横浜に入りこんだ麻薬密輸の大ボスで、裏切者や邪魔者は残虐な方法で抹殺する冷酷な男だ。政夫は、密談を終えたアイリンの車を追った。途中、何者かが放った弾が彼の右腕をかすめたが、痛みをこらえながら家をつきとめ、アイリンに健次のことを問いつめた。しかし、彼女は「知らない」と首を横にふるばかり。その様子を一人の外国人が、隣室でうかがっていた。彼は「神戸税関の香山だ。奴は必ず消さねばならぬ」と、立去る政夫の後姿を見ながら低くつぶやいた…。

日本
製作:日活 配給:日活
1959
1959/8/19
モノクロ/7巻/2379m/86分/シネマスコープ・サイズ
日活
【神奈川県】横浜市(横浜駅東海道線ホーム、横浜駅前、伊勢佐木町、野澤屋?屋上、山下町、派大岡川、吉浜橋、横浜市電の車内、桜木町付近、紅葉坂、横浜港、丸善石油ガソリンスタンド、よこはま海浜プール、元町、馬車道、崎陽軒ビヤ-ガーデン) 
【千葉県】富津市(第一海堡)