城北大学大学院学生の辻本慎吾は作曲家志望でフランス留学を目指している真面目な学生だったが、授業料値上げ反対のデモに参加したときに見知らぬ女子学生が警官から暴行を受けた際に咄嗟にとった行動が公務執行妨害と傷害の罪に問われ被告の身となってしまった。身柄不拘束の裁判と決定し釈放された慎吾はその数日後、学内で例の女子学生・雨宮秋子から危難を救われた御礼を受け、複雑な思いを秘めながらも親しく語り合った。慎吾は両親を失って以来、残された家に藤村という軽音楽好きの友人とその音楽仲間たちと暮らしている貧乏学生であり、フランス招聘留学生の試験を受けるつもりであることを話した。秋子は幼少時より病弱であることを語ったが、慎吾には秋子がどんな家庭の娘であるかは分からなかった…。