高林組の兄貴株として顔を売る夏木哲夫の仕事はもっぱら麻薬の運びで、それだけに金廻りもよく、ビリヤード店に勤める恋人・圭子の心配をよそに裏街道を突っ走っていた。そんな哲夫が危うく警察に捕まりそうになったとき、風来坊風の男・加納京助に助けられた。2、3日して、偶然にも馴染みの賭博場で京助に再会した哲夫は、薬仲間が通うバー“ユリ”に京助を連れて行き、ぺー患者であるマダム真紀の美貌を利用して京助を仲間に招き入れた。運び人となり、盛り場のあらゆるところで取引きする京助の前に、男たちが立ちふさがった。次の瞬間、京助の鉄拳が炸烈した。しかし、これは京助の腕をためすための高林の芝居だった。高林は足を洗おうとする大阪の運び人・竹田を殺すよう京介に命じた。その夜以来、京助は巧みな取引で綿密な仕事ぶりをみせていった。ところが或る日、京助が取引した相手のボス・陳が警察にあげられてしまった。高林が腹心の政吉をつかって、バー“ユリ”で京助を問いただしていると、私服刑事が現れた。京助は刑事が突き出した捜査令状を破り、刑事達を叩きのめしたことにより高林の京助に対する疑いは晴れた。しかし政吉だけは、陳が捕って以来、京助を刑事とにらんでいた…。