若い傾斜
わかいけいしゃ

現代社会の汚濁に生きる若き世代のモラルを赤裸々に描く。

川瀬康夫は法律に夢を持ち、昼は東亜電力に勤め、夜は城南大学で学ぶ勤勉な青年である。今日も親友の庄司新吾と法律論を交わす康夫の顔には、若さが溢れていた。その帰途、康夫は自家用車にはねられ損ね、その車の持ち主・緒方美根子と知り合った。康夫は、緒方法律事務所に勤める母の奈津江と二人でアパートに住んでいた。このアパートには、康夫の上役に当る櫟係長の一家も住んでいて、親戚同様の付き合いをしていた。特に櫟の娘・千加子は康夫に好意を抱いていた。数週間後、東亜電力は汚職の摘発にあい、専務の五十嵐は櫟に罪を背負うことを引受けさせた。警察に拘引される櫟は、一冊の手帳を康夫に預けた。康夫はその手帳から、会社の大きな汚職を知った。櫟は、会社の顧問弁護士の緒方の指示どおり黙秘権を行使していたが、一人で罪を負う櫟の気持ちが分からない康夫が「櫟を助けてくれ」と緒方に手帳を届けると、緒方は「この手帳があれば近いうち釈放されますよ」と康夫を喜ばせた。しかし、数日たっても何の反応も表われず、不審に思った康夫が再び緒方を訪ねると、打って変わった緒方の態度に呆然とした。緒方は、専務の五十嵐とグルだったのである-。

日本
製作:日活 配給:日活
1959
1959/6/30
モノクロ/78分/シネマスコープ・サイズ/8巻/2137m
日活
【栃木県】日光市(奥日光)
【東京都】渋谷区(代官山)