トップ屋取材帖シリーズ第一弾。ペンと度胸のトップ屋稼業、颯爽、悪の魔窟へ乗り込み大暴れする痛快娯楽篇、原作島田一男(明星連載)
大都会の喧騒の中、週刊誌のトップ記事を求めて街を歩いていた黒木は、妖艶な女・お蝶に呼び止められた。八年ぶりの再会だった。黒木は、今ではクラブ・サンブレロのマダムをしているこの女の何か暗い影を持つ生活に魅かれてお蝶の部屋へ行った。クラブは麻薬の取引場だった。そしてお蝶は麻薬密輸ルートの片棒を担いでいた。「しめた!トップ記事が取れる」黒木は喜びを隠して、うまく密輸の仲間入りすることに成功した。黒木、お蝶、芝六、須藤、そして劉の五人が次の日の夜桟橋に集まった。どこからともなく集まった密輸の仲間たちだった。黒木はライターに仕込んだカメラで密輸の全てを盗み撮りしていた。五人は金を分けると離れ離れになっていったが、お蝶は暗がりで突然須藤から拳銃を突き付けられた。お蝶を殺して麻薬を独り占めしようとした劉の差し金で来た須藤だったが、麻薬の禁断症状が出て暗殺に失敗、お蝶は駈けつけた黒木に助けられ、須藤は翌朝水死体となって港に浮かんだ…。