非情な銃弾
ひじょうなじゅうだん
冷血の殺し屋の異常な心理と非情な末路を、息づまるサスペンスの連続のなかで描くアクションドラマ。

深夜の静寂に眠る高級アパートの一室にすべり込んだ殺し屋・笹川健二は、情婦といた沢村組の親分の前に立つと、無表情に消音拳銃の引金をひいた。健二を雇ったのは、沢村の顧問弁護士・松本だった。沢村を消して密輸の権利を浜崎組に売り渡し、漁夫の利を得ようという狡猾な企みだった。 健二にとって動機は問題ではなく、報酬さえもらえば確実に相手を殺すのが彼の商売だった。空虚な気持ちを酒で紛らわすため「すみれ」というバーに寄った健二は、その帰り道に銃弾に見舞われたが、素早く放った健二の弾は相手の足を貫いた。その男は、松本が第二の殺し屋として雇った鉄造だった。松本のいるキャバレー「カルセヴィア」に引き返し、狼狽する松本に「殺されることを引受けた憶えはねえ」と威嚇した健二は、マダムのルミを見て驚愕した。ルミは、死んだ妻・雪江と瓜二つだったのだ。健二が殺し屋稼業に身を落としたのは、姦通した雪江を激昂のあまり射殺してからだった。沢村殺しに成功した浜崎組の密輸取引は活発になった。それにつれ、浜崎組の顧問弁護士に鞍替えした貪欲な松本と浜崎は、分け前のことで険悪化していった。 一方、健二は松本達には無関係に「カルセヴィア」に度々顔をみせ、ルミを相手に飲んでいた。その健二をみて驚いたのは、新米バーテンの佐々木だった。二人は昔の親友同士で十年ぶりの再会を喜び合ったが、佐々木は何故か店では赤の他人でいてくれと頼むのだった…。

日本
制作:日活 配給:日活
1959
1959/6/30
モノクロ/6巻/1552m/57分/シネマスコープ・サイズ
日活
【東京都】港区(三幸実業新橋倉庫付近の河岸通り)/大田区(羽田空港)/中央区(采女橋と築地川)/千代田区(毎日新聞社新館丸ノ内名画座付近)/調布市(日活撮影所第2電気室前通路、10st前通路他所内)/東北本線を走るD51型SL