港町・函館―鉄砲小路に明かりが灯り、一軒の酒場から賑やかな歌声が聞こえてきた。歌声の主は佐川鉄太郎。北海の荒海で船仲間から“二連銃の鉄”と恐れられたラッコ打ちの名人だったが、あることがきっかけで収監され、五年ぶりに出獄してきたのだ。一文無しの鉄太郎は飲み代を得意の射的で稼いだが、地回りの仙吉に因縁をつけられ持ち前の腕っぷしで子分たちを倒したものの仙吉のナイフに倒れ、すんでのところでラッコ密漁船の船長・犬塚に助けられた。鉄砲の名手・鉄太郎を探し求めていた犬塚は近くのあいまいバー「花村」に気を失った鉄太郎を担ぎ込むと、雇われマダムの美也子に鉄太郎の看病を頼んだ。眠りから覚めた鉄太郎は犬塚に助けられたことを知ったが、犬塚の誘いで密漁船に乗ることは拒むのだった…。