唄うグラマー松山恵子のヒット・ソングの映画化。そのセクシーな美声をたっぷり聴かせる歌と活劇の娯楽篇。
ダスターコートの不気味な男、谷譲次と自転車のパンクで困っていた中沢道子を乗せたトラックが、茶畑の見える東海道を清水に向って疾走していた。その頃、清水では、道子の母アヤが経営するバー「ラメール」の事で、土地のボス光村と云い合っていた。光村は五年ばかり前にアヤの美貌に目をつけ、ラメールを買い与える事でアヤを二号にしたのであるが、娘の道子の成長した美しさに乗り換えようとしてアヤに断わられ、そのためにラメールの出資金を返せと難癖をつけるのだった。ラメールで働く女給の圭子、みどり、新子達は、そんな光村を軽蔑していた。道子は光村を毛嫌いし、光村を強くはね返せぬ母を不甲斐なく思っていた。その夜、酔客で賑わうラメールでは、近くレコードを吹き込むことになっている圭子が得意の唄を唄っていたが、光村の乾分達に絡まれて困っているところへ譲次が来合わせてこれを援けた。譲次は仲間を裏切って逃げた鮫川を追っているのだったが、これを機にラメールの二階に寝泊まりすることになった。