狂った脱獄
くるっただつごく

新妻を暴行され、犯人と誤って友人を殺した男が真犯人を求めて脱獄する、スリルと恐怖の異色篇。

ある地方の小都市で殺人事件が起こった。トラック運転手・岩上国夫の留守中、彼の友人である関根良太郎が、新婚三ヵ月の岩上の妻トミ子を暴行したと知った岩上が、発作的に犯行におよんだとみられた。なぜならトミ子も犯人について「確かに関根さんです!」と証言したからだ。自首した岩上は、留置場で「俺は女房の仇を討ったんだ...」と、うわ言のように言い続けるかと思うと、深い悔恨の淵に喘いでいるかのようにギリギリと歯を鳴らした。と、そこへ面会に来た運転手仲間の竹内が「俺、お前の奥さんが、森岡の奴に肩を抱かれるようにして歩いているのを見たぞ」と告げた。この一言は、あり得ることかもしれない妻の不貞という疑惑で、岩上を包んだ。顔は血の気を失い、壁の一点に焦点を合わせたまま動かない岩上は、妻が森岡に抱かれている悪魔のような幻想を描いた。疑惑は一層の疑惑を生み、苦しい一夜が明けた。そして何度目かの取調べで岩上は、関根には強姦事件の日のアリバイがあったことを知らされ愕然とした。「やはり森岡の奴だったんだ!許しちゃおけねぇ、森岡を殺してやる!」岩上は頭を壁にたたきつけ、絶叫した。そんな岩上にチャンスがやってきた。岩上が一人でいた獄房へ入れられた刑務所送りの決まった宮川という囚人が、脱獄を持ちかけてきたのだった-。
日本
製作:日活 配給:日活
1959
1959/4/8
モノクロ/5巻/1433m/52分/シネマスコープ・サイズ
日活
【東京都】多摩川