JA750号機行方不明
じぇいえいななひゃくごじゅうごうきゆくえふめい

昭和33年新聞協会懸賞当選放送劇映画化。遭難機の行方を追う、老若二人の新聞記者の取材競争の裏に咲いた心温まる感動篇。

真白な雪を頂いた山脈に、ぐるりと囲まれた地方都市・甲府。その真中に、古ぼけた建物の毎朝新聞甲府支局がある。華やかな新聞社とはかけ離れた、地味でノンビリした空気がこの支局を支配している。ここでは新聞研究室で教えられた正義や人権というものが、そのままの形で通らないことが多い。 東京から転勤して来た若い記者・長谷はこんな空気がたまらず、まずこんな空気をふき飛ばそうと思った。しかし、彼の理想はあくまでも理想だった。マーケットを潰してカントリーハウスを建てるという町のボスの陰謀をすっばぬいた彼の記事は、支局長の手によって握りつぶされてしまった。しかし長谷はへこたれず、貪欲な眼を光らせて仕事に飛びついた。人の嫌がる自殺の取材にも喜んで行く、非情な記者魂しか持ち合わせていない彼は、自殺した大地主の娘の仏壇の写真を平気で盗んで来た。それを記者魂だと思い込んでいる長谷に、昔気質の山梨時事新聞の記者・木庭は腹が立ってならない。たまたま居合せた呑み屋で「特ダネを取るばかりが能じゃない。中央の記者の華やかなトップ記事の裏に書く地方記者の小さな記事に、読者の何人かは涙も流し、喜びも味わうんだ」と諭す木庭の言葉に、長谷はいつしか涙ぐんでいた。長谷と木庭の娘・京子は恋仲だったが、京子にも愛情が欠けていると言われた。淋しい気持ちを紛らわすため酒を呑んでいた長谷は、ふと「飛行機が観音経溪谷の辺りに落ちた」という土工たちの言葉が耳に入った。「行方不明になっているJA750号機だ!」記者魂が動いた彼は、月明りの夜道を現場へ向かった…。

日本
製作:日活 配給:日活
1959
1959/3/25
モノクロ/63分/シネマスコープ・サイズ/7巻/1733m
日活
【山梨県】甲府市(御崎神社付近、御納戸小路町・サドヤワイン工場、常盤町・レストラン・フジ、元柳町、毎日新聞甲府支局、甲府駅前、市役所付近、甲府地方法務局前、)/甲斐市(信玄橋、旧・中巨摩郡玉幡村中八幡の新海家)/大月市(新笹子トンネル)/南アルプス市(夜叉神峠、観音経渓谷)/笛吹市(小松農園)/野呂川