赤いランプの終列車
あかいらんぷのしゅうれっしゃ
春日八郎の歌手生活十周年を記念してキング歌手がズラリと顔を揃えて出演する、歌の祭典ともいうべき自叙伝的娯楽歌謡巨篇。春日八郎のヒット曲にのせ、恋と慕情を描く!

話は十年前にさかのぼる―。ローカル線の二等車に乗っているのは芸能マネージャーの山野ユリと、同業だが近ごろサッパリ振るわない中村。そこへ車掌の春日八郎が切符の検札に入ってきた。二等乗車券など買っていない中村は逃げようとするが、ユリに引きとめられ「君も歌が好きならテストして上げよう」と、今度は芸能事務所社長の名刺を出しハッタリ戦術に大わらわ。純情な春日は「よろしくお願いします」とお辞儀をした。やがて、汽車はある町についた。その町で新たな契約をとろうとする中村だったが、行く先々でユリに先手をうたれていた。中村も、昔はファイト満々の芸能マネージャーとして売り出していたのだが、今では契約の前金をもらってドロンする始末。昔の中村を知っているユリは、商売敵と言えども忠告せずにはいられない憤りをおぼえた。契約がとれず憂鬱顔で帰京の途についた中村は、汽車で再び春日とバッタリ会った。その日、春日は愛し合っていた富子が町の資産家の息子と結納を交わしたと知り、愕然とした。富子の父が嫁入り先から借金しているというのだ。そんな考えは古いと責める春日に、富子は「いつ逢っても何も言わない貴方が悪いのよ」と泣いた。春日は淋しく富子を見送りながら「別れの一本杉」を歌うのだった。失恋の痛手から明るい笑いを取り戻した春日は、中村の名刺を頼って東京で歌手になろうと一念発起。懐しの故郷をあとにして、ようやく中村を訪ね当てるのだが…。

日本
製作:日活 配給:日活
1958
1958/12/28
モノクロ/5巻/1375m/50分/シネマスコープ・サイズ
日活
【東京都】千代田区(丸ノ内日活)
【静岡県】富士市(富士山をバックに富士川鉄橋を渡る東海道線列車)