果しなき欲望
はてしなきよくぼう

欲望に狂う人間心理を鋭く描いた野心作で、笑いと恐怖が交錯する異常性を強烈に描いた異色篇。

終戦記念日の8月15日-ある駅のホームに、胸に星のマークをつけた5人の奇妙な人物が集まった。彼等の目的は、軍医・橋本中尉が防空壕に埋蔵した時価6千万円のモルヒネを掘り出すことだ。橋本中尉と従兵3人は10年後のこの日、掘り出して山分けすることを約束していたのだ。ところが集まったのは5人、1人余計だった。既に死亡している橋本中尉の妹と称する妖艶な女・志麻、薬剤師の中田、大阪の中華料理店主・大沼、ヤクザの山本、中学教師と称する沢井、いずれも当時従兵だったと主張したので、5人は協力することを申し合わせた。目的の防空壕の地点には肉屋が建っていたため、彼等は20メートル離れた空屋を借り、そこから地下を掘り進もうと計画を立てた。強欲な家主・金造に法外な敷金家賃をふきかけられ、おまけに金造の長男で、肉屋の娘リュウ子の許婚者である悟を雇うことが条件だったが、何とか家を借りることができた。彼等は工事に要する生活費30万円の分担金をつくるため、一旦帰郷することにした。ところが抜けがけを狙う大沼が、一足先に帰って沢井と組もうとしたため中田と志麻が激怒。そんな中、ヤクザの山本が強盗を犯し、その口からバレるのを怖れた4人は急拠穴を掘り始めた。物欲と情欲に取りつかれ、猛然と穴掘りに熱中していた男達は、骨休みを兼ねて出かけた町会事務所の会合で、彼等の家を含めた町内一帯が取壊されるという意外な事実を聞き…。

日本
製作:日活 配給:日活
1958
1958/11/18
モノクロ/101分/シネマスコープ・サイズ/10巻/2753m
日活
【富山県】高岡市(姫野駅、姫野駅周辺商店街)
【神奈川県】横浜市(鶴見川)