完全な遊戯
かんぜんなゆうぎ
『太陽の季節』から始まった太陽族時代の終末を告げ、“遊戯の終点”を示した石原慎太郎の問題小説を映画化。ドライなハイティーンの生態を描く異色青春篇。

血眼で職を捜す多くの学生達と異なり、会社社長を父に持ち既に就職先が決まっていた壮二は「いい家庭に育って就職先が決まっている連中は勉強する必要がなく、太陽の下でやりたいことが出来ます。しかし彼等とて就職して大きな流れの中に入れば、そんなものは吹っ飛んでしまいます。抵抗はすべて遊戯にしかなりません」と、、就職試験で臆する色なく答えた。そう、大きな犠牲を残したあのことも遊戯にしか過ぎないのだ...。若いエネルギーと時間を持てあましていた壮二、秋谷、沖津は、場外私設車券売りのかたりで金儲けしようという戸田の提案に飛びついた。ノミ屋といわれるこの商売は、レースがゴールインしてもまだ券を売っており、しかも競輪場からノミ屋に結果が届くまでに五分の時差がある。ここに目をつけた彼らは手分けしてノミ屋より早く結果を仲間に知らせ、当たり券を買占める計画だ。計画は成功し、配当金は三十四万円だった。しかしノミ屋には金の用意がなく、責任者の鉄太郎は二十万円を先に払った。残り十四万円も必ず渡すと約束したが、すぐに用意できないことに業をにやした壮二たちは鉄太郎の妹・京子を沖津の下宿に閉じ込め「金さえ払ってくれたら返す。それまで大事にお預かりしますよ」と鉄太郎に電話を掛けた。約束を守った鉄太郎は十四万円の金を耳を揃えて送って来たが、京子は和、秋谷、沖津に手ごめにされ、鉄太郎との約束は破られていた-。

日本
製作:日活 配給:日活
1958
1958/11/11
モノクロ/93分/シネマスコープ・サイズ/10巻/2554m
日活
【東京都】武蔵野市(吉祥寺、駅南口)/文京区(後楽園遊園地・回転椅子)/千代田区(丸の内界隈)
【神奈川県】川崎市(川崎競輪場)