東京午前三時
とうきょうごぜんさんじ
非情の殺し屋が絶望の巷に知った純愛の苦悩を、フランク永井の魅惑の低音にのせて描いた歌謡活劇篇

夕暮れの迫る東京丸ノ内のあるビルの前に一台のタクシーが停まり、すくっと舗道に降り立った男がいた。若いがどこか暗い陰のあるその男の顔は、情を知らぬ冷酷さで深い彫りをきざんでいる。この男槙隆次は神戸で世話になった暗黒街の外人ボス、ウィリアムの手下のハリーの指令を受けて殺しを請け負った不敵な男である。その槙は今、ビルの五階にある“パシフィック商事”の扉の前に佇んで内部の様子に耳を澄ましている。社員たちは退社して誰もいない。事務所に身を潜り込ませ、じっと社長室の中をうかがう槙は、社長の若槻らしい太い声がするのを聞くと微笑を浮かべながら静かにドアを開き、グイと社長室に鋭い眼を配った。だが、何とした事だ。デスクには狙った若槻の姿はなく、一隅でテープレコーダーから流れる若槻の言葉を英文タイプしていた若い娘が驚いたような顔を上げた。その娘は一旦落ち着きを取り戻すとハッキリした口調で、若槻社長は香港に出張中で、自分は若槻の娘の冴子だと名乗った…。

日本
製作:日活 配給:日活
1958
1958/11/11
50分/6巻/1349m/モノクロ/シネマスコープ・サイズ
日活
【東京都】中央区(銀座夜景)/大田区(羽田空港、同・ブリッジ、京浜国道、大師橋)/千代田区(警視庁表)/世田谷区(二子玉川園・付近のホテルの表) 
▲(大垂水・岸壁)