若きドラマーの青年が密輸団相手に展開する凄絶な死闘と清純な恋物語を、朝倉ユリのセクシーな歌声にのせて描く歌謡活劇篇。
横浜野沢屋デパート四階ギャラリーは、長谷良次写真展でにぎわっていた。記者に囲まれた良次をみつめる美津は、良次の弟・宏の恋人だ。宏も写真家としての腕を持っていたが放浪癖が災いし、ドラマーになると神戸へ行き、便りのないまま一年の月日が流れていた。そのころ横浜駅に、人目を避けるように降りたった男がいた。宏だ。電話ボックスで美津に連絡した宏は「三号倉庫だ!」と告げて電話を切った。宏との久しぶりの再会は「このフィルムを預ってくれ」という一言だけだった。駈けつけた良次は、美津の手にフィルムが握られているのを見て不吉なものを感じた。疾走する宏のタクシーの前に、一台の車が廻り込んだ。神戸から宏を追ってきたジョウと高井だ。宏は不敵な笑いを浮かべ、四、五枚の写真をつき出した。それはジョウたちが外国船で密輸取引きをしている現場写真だった。良次と美津は、フィルムを包んであった新聞の広告を頼りに宏の行方を探し始めた。その頃、ホテル・ニューグランドの一室では例の写真を見たボスのマックがジョウと高井を怒鳴りつけ「宏を探してネガを取り上げろ」と命令していた。二人は、宏を愛していた踊り子・あけみのいる横浜のブルースカイを探すことにした。良次も、一足早く踊り子のユリとあけみに会った。そこで良次は、あけみから宏がバンドをやめた理由を聞き出した。宏は花形ドラマーだったが、あけみを追いまわす地廻りの男と争い、左手を駄目にしてドラムを叩けなくなってしまった辛さからヤケになり、悪の世界に入りこんだのだった...。