その女を逃がすな
そのおんなをにがすな

一人の女の命を執拗に狙う、刑務所帰りの殺人鬼。その影を追う二刑事の活躍をスリルと迫力で描くサスペンス・アクション篇。

芦山巡査は、道を尋ねてきた男に背後から塩酸をかけられ、拳銃を強奪された。駈けつけた政田刑事が現場から得た証拠物件は、塩酸と犯人のものらしい中折帽だけだったが、苦しい息でつぶやく芦山巡査によると、犯人は顔色の青い丸刈の男だという。芦山と警察学校の同期生である政田は担当を志願し、先輩の天野刑事と捜査を開始した。警視庁指令室の110番ベルが鳴ったのは、事件後3時間たった頃。天野と政田は、虎の門の五十鈴荘アパートへ急行した。女が床に倒れていた。管理人の話によると12時ころ寝静まったアパートに銃声が響き、2階からかけ下りてきた男が逃げ去ったという。中折帽をかぶり、青白い顔の背の高い男だったということも分かった。被害者は、銀座のバーで働く香取澄子。バー仲間の浜野みどりが他のアパートへ引越したあと、その日ここへ越して来たばかりだった。捜査の結果、ドアの外から撃たれたこと、弾痕は警官用拳銃のものであること、澄子は事件当時男と一緒におり、男は窓から脱走したことなどが分かった。天野は帽子屋を巡り、その出所と犯人の足取りをつかんだ。そして青白い顔の丸刈り頭という点から、最近刑務所から出所した男という線が浮上した。一方、澄子の男関係を探っていた政田も、パトロンの男をつきとめ取調べを開始した。彼の陳述によると、澄子がその日五十鈴荘に越して来たことを知る者は自分以外にはなく、ノックの音に澄子も不審がっていたという。さらに、澄子はみどりの親友であるとも語った。これを聞いた政田は、みどりの急な引越しなどから「狙われているのは、みどりだ」という結論に達した。そこへ、刑務所帰りの線から前科三犯の虎吉という男を書類から発見したと、船曳刑事がやって来た。材料は揃った。政田、天野らは色めき立った…。

日本
製作:民芸映画社 配給:日活
1958
1958/9/8
モノクロ/6巻/1417m/52分/シネマスコープ・サイズ
日活