文子は白雪大水泳部のホープという明朗な女子大生であった。姉が急病という報せを受けて、久しぶりに故郷の豊橋に帰る文子は、親友の芳江の勤務する特急「はと」に揺られていたが、メダカをマスコットとしている変わった学生のグループと知り合いになった。このグループは、関西で行われる全日本学生水泳選手権に出場する東都大の学生達であった。文子はそのグループの一人、有坂に男らしい面を感じて好意を持った。やがて特急「はと」は豊橋駅に滑り込んだ。文子は、芳江の「お姉さんがよくなったらすぐ帰っていらっしゃい」という言葉を背に受け、有坂達に別れを告げると家路に急いだが、病気である筈の姉は元気で働いていた。姉の和子はいつまでも呑気に学生生活を続けている文子に気をもんでお見合いを進めるために一芝居打ったのだが、文子は「お見合いなんて古いワ。結婚の相手ぐらい自分で見つけるワ」と全然受けつける様子もなかったが、文子の胸には知らず知らずのうちに有坂の面影を想い浮かべていた…。