「俺がお前の女房に何をしたというんだ…」乱斗にもつれた倉三の拳銃が偶発し、倉三の後の言葉を消した。倉三親分の身代りで刑務所に入っていた仲次は、弟分の岡健から「親分が仲次の女房を手ごめにした」と聞き、刑務所を出て直ぐ倉三親分を殺しにやって来たのだった。翌日の新聞には「容疑者伊吹仲次全国に指名手配」という記事がデカデカと載り、捜査陣が仲次を追い込んでいった。「捕まる前に女房の礼子も眠らせる。ただ、子供だけが心配だ」仲次は唯一人の味方・岡健に子供を頼むと行方をくらました。捜査陣のところに、仲次が情婦の家に潜伏していると云う情報が入った。しかし、警察が踏み込んだとき仲次の姿は見えず、仲次の無実を信じる情婦の玉枝が涙の跡を見せて立たずんでいた。いよいよ金に困った仲次は、岡健に金と拳銃を届けるように頼んだ。汽笛が流れると桟橋の上に、二つの黒い人影。仲次と、岡健の使いで金と拳銃を持って来た男だった。二言、三言、言葉を交すと、二つの影は離れて行った。と十数歩歩いたところで突然男が振り返り、銃声がこだますると、仲次の体は黒い波の中に消えて行った…。