赤線廃止後の社会問題の実態を背景に、清らかな修道尼が運命のいたずらから引きずり込まれた暗黒の世界に苦しみつつも、清く生き抜く姿を描いた異色肉体アクションドラマ。
澄み切った高原の空気の中、教会の尖塔がそびえ、麦の穂は明るい太陽に照らされ光っていた。東京の生活に疲れ故郷へ帰って来た加奈子が幼な友達の比佐子に逢ったのは、神に仕え修道女となった比佐子が北海道へ旅立つ日だった。二人はそれぞれの思いに浸りながら、かなたの連山に光る白い雲を見つめていた。その静けさを、男達の荒々しい足音が破った。東京から加奈子を連れ戻しに来た杉田、本木、健、サブの面々だった。彼等は嫌がる加奈子とともに比佐子も道連れにすると、深夜の道を東京へと車を飛ばした。諦めきって彼らに身を任せる加奈子、身を固くして震える比佐子。エンジンの故障で車が停まった。道端の小屋に押し込まれた比佐子は、神に祈り続けた。そこへ一人入って来た健が、比佐子に組み付いて来た。必死に抵抗し、隙をみて逃げ出したが、崖ぶちに追い込まれ絶体絶命。激しくもみ合ううちに、比佐子は健を谷底へ突き落としてしまった。先を急ぐ男たちは健を見捨て、急いで東京へ戻った。比佐子と加奈子が連れ込まれたのは「青葉寮」という女子寮だった。ここは表向き、洋裁学校や舞踊学校の生徒の寮ということになっているが、売春を目的とした大掛かりな白線組織だった…。