あン時ゃどしゃ降り
あんときゃどしゃぶり
日活得意の歌謡映画シリーズの一篇で、人気歌手春日八郎が出演し、数々のヒットソングを歌いまくる哀愁篇

それは雨が叩きつけるように激しく降る夜のことだった。タクシー運転手の剛はニコライ堂下の舗道でびしょ濡れになっている若い女を乗せるが、高熱にうなされているのを見て近くの病院に連れて行った。西村圭子というその女は急性肺炎と診断された。数日後、病の癒えた圭子は剛からもらったタクシー会社のマッチの電話番号を手掛かりに剛の営業所にやってきた。身の上を語り合ううちに剛は母、圭子は父と片親だけの淋しい家庭であることが二人の心に何か共通の親しさを感じさせるのだった。そして次の休日、隅田川へボートを漕ぎに出かけた二人は、もう幼なじみのように仲良く楽しい一日を過ごした。日暮れて剛は圭子を家まで送って行ったが、彼女の家の表札を見て愕然とした。西村修作ーそれは数年前、運転手になる前の剛がふとした身の誤りから手錠をかけられた刑事その人だったからである。行きつけの大衆食堂「松月」で剛から事の成り行きを聞いた先輩の八郎は「今のお前は立派な堅気の運転手なんだ。勇気を出して一切を圭子さんにも、お父さんにも打ち明けるんだ」と優しく励ましたが、剛には自分の汚れた過去を打ち明ける勇気がどうしても湧いてこなかった…。

日本
製作:日活 配給:日活
1958
1958/6/29
モノクロ/5巻/1456m/53分/シネマスコープ・サイズ
日活
【東京都】板橋区(大和タクシー板橋営業所)/千代田区(御茶ノ水・ニコライ堂付近の道、神田明神境内)/墨田区(両国郵便局、浅草松屋と東武線鉄橋を臨む隅田川、言問橋上)/台東区(上野警察署)/港区(東京港・竹芝桟橋)/荒川区(南千住)