美しい庵主さん
うつくしいあんじゅさん

二人の都会の男女学生が浮世離れた尼寺を訪れ、大学に通う美しい尼さんとの友情を通じ青春の尊さを知る、爆笑と諷刺と哀愁を込めた青春ユーモア篇。

こんもりと生い茂る杉林の奥に、古びた尼寺「明秀庵」がひっそりと建っている。ある日、浮世離れしたこの山寺に、庵主さまの姪御・悦子が十年ぶりに東京から遊びに来るという報せが入った。庵主さま昌光尼はもちろん、栄勝尼も智円尼も喜び、歓迎準備に忙しくなった。颯爽と乗り込んで来た悦子のロッカビリー調のお転婆ぶりもさることながら、彼女が同じ大学のボーイフレンド昭夫と一緒なのに、昌光尼達はびっくり仰天。バーでバーデンのアルバイトをしていた昭夫は、マダムとのちょっとした浮気が悦子の逆鱗に触れ、頭を冷すためと、卒業論文を書くために、この尼寺に引っぱって来られたのだ。神秘的な美しさを湛えた尼さん達を空想していた昭夫は、お婆さんの庵主さまや弁慶みたいな栄勝尼にガッカリ。ところが、お風呂の火を焚いてくれる若い尼さん昌妙尼とバッタリ顔を合わせた昭夫は、その美しさにショックを受け、思わず熱い湯舟に飛び込んだ。明秀庵の庵主さまは代々美人がなるという言伝えがあり、昌妙尼は次代の庵主さま候補で、目下県立大学へ通学中である。翌朝、昭夫は早く起きると、まめまめしく昌妙尼の手伝いをするばかりか、寝坊して起きて来た悦子の面倒まで甲斐甲斐しくみるので、尼さん達は呆れるやら感心するやら。悦子が行きがかり上のお見合で出かけた日、昌妙尼に愛の告白にやって来た図体のでかい男を説得して帰した昭夫は、その宵しみじみと昌妙尼と語り合い、彼女が灰色の青春の中で、いかに清くまじめに生き抜こうとしているかを知り-。

日本
製作:日活 配給:日活
1958
1958/5/6
モノクロ/97分/シネマスコープ・サイズ/10巻/2506m
日活
【東京都】千代田区(明治大学)/八王子市
【静岡県】伊豆の国市(随昌院本堂)