暗黒街の美女
あんこくがいのびじょ

地下水道に隠したダイヤモンドを巡るギャング・アクション。鈴木清順に改名後の1作目であり、清順初のシネマスコープ作品。ダイヤが死体の腹からマネキンへ移動するサスペンス、シネスコ画面を活かしたカメラワークなど見どころ満載。

ボス大矢根の身代わりになってクサイ飯をくらうこと3年、不精ひげに鋭い眼光の宮本は、冷たいダイヤの感触にかすかな笑いを浮かべると「この石はドジを踏んだ三原にくれてやろう」とつぶやいた。密輸事件でドジを踏み、脚を悪くした弟分・三原の身の上に、宮本は心を痛めていた。それだけに宮本は、ヤクザ渡世の義理人情から刑務所を出ると真直ぐ、宝石の隠し場所であるこの地下水道に来たのだった。一方ボスの大矢根は、今では銀座でホールの経営からソープを持つまでに成り上がっていた。そんな大矢根にとって宮本の出獄は目の上のコブ。三原に宝石を渡すと云う宮本の言葉にうなずいてはいたが、心の中では悪企みがたてられていた。大矢根と別れた宮本は、その夜いたいたげな体でおでんの屋台を引く三原の姿をみた。三原が妹・亜紀子の幼な心を誇りにしていたのは、とうの昔。今では三原の心配をよそに、亜紀子は大矢根たち密輸団と繋がっている青年・有田の情婦になっていた。宮本と三原を混えた大矢根達と外国人ダニエルとの取引の日、緊迫した空気のなか三原が宝石を取出した。と同時に「動くなッ」と拳銃を向けられた三原は、宝石を飲み込みこんでしまった。一瞬、三原の口に男達の視線が集った。次の瞬間、よろめいた三原の体はもつれて宙に飛び、地上に吸いこまれ墜落してしまった…。

日本
製作:日活 配給:日活
1958
1958/3/25
モノクロ/10巻/2388m/87分/シネマスコープ・サイズ
日活
【東京都】中央区(銀座・並木通り)/港区(新橋付近)/渋谷区(幡ヶ谷・代々幡斎場)/新宿区(榮太樓総本舗新宿店前交差点、都電角筈線路上)/狛江市(多摩川河原、走る小田急電車)
【神奈川県】横浜市(鈴江組倉庫株式会社山下埠頭営業所屋上、横浜港、尾上町交差点付近、豊岡商店街)