十代の恋よさようなら
じゅうだいのこいよさようなら

至純の恋の幸福も束の間に破れ、美しくもはかなき青春の幕を閉じた悲恋の物語を哀調のメロディに乗せて贈る純愛悲歌。

銀座の裏街に巣食うちんぴらスリの啓一は、ある夜、妹によく似た花売り娘・澄子が仲間にこずきまわされているのを助けてやった。啓一は、田舎で亡父の代わりに母の静と妹の保子を細々と養っていたが、新しい生活の道を開こうと四、五年前に東京へ出て来た。しかし世間は甘くなく、生活に詰まった啓一は、愚連隊に足をつっ込んでしまったのだ。澄子もまた不幸な星の下に生まれた娘で、その夜も一杯飲屋をやっている継母・八重の差し金で客に貞操を奪われそうになった。家を飛び出した澄子は、花売り仲間ブン子の部屋の屋根裏に寝泊りし、翌日からブン子と一緒に靴磨きを始めた。表面はやくざぶっているが、根は優しい啓一に生まれて初めての慕情を抱く澄子は、啓一がドジを踏んで警官に捕まりそうになったところに偶然居あわせ、咄嗟に彼を救った。彼も、純真な澄子に愛情を覚え始めた。家庭的に恵まれず、同じような貧しい境遇に痛めつけられている二人の心に芽生えた恋は、清く切なく燃え上がった。希望を取り戻した啓一は、昔世話になった吉田刑事の紹介で、町工場の職工として真面目に働くようになった。次の公休日に城ヶ島へのハイキングを約束した二人の瞳は、幸福に輝いた。しかし、その幸せな夢は無残にも、崩れ去ってしまった。公休日前夜、啓一は事故で膝下を切断されてしまったのだ。澄子は啓一を一心に看病し、励まし、何とか義足を買おうと身をすり減らしたが、いくら働いても、たかが知れていた。澄子はついに、啓一の昔仲間・次郎に誘われスリを働くまでになってしまった。そして、立派な義足をつけてもらい、啓一が喜んで帰って来た日、皮肉にも、澄子は警察に留置にされていた…。

日本
製作:日活 配給:日活
1958
1958/2/26
モノクロ/6巻/1512m/55分/スタンダード・サイズ
日活
【東京都】港区(新橋ガード下)【神奈川県】三浦市(城ヶ島)