素足の娘
すあしのむすめ

貧困の中で育った美しく健康的な少女が、困難を乗り越えて女性として成長していく姿を描き、しみじみと胸をうつ感動の文芸大作。

瀬戸内海に面した造船所から帰路につく工員たちがぞろぞろと出てくる。その中で、粗末なワンピースを着て素足にサンダルを引っ掛けた少女が誰かを探している。この造船所に勤める父を探しに長崎からはるばるやって来た桃代だ。桃代は父の転勤により叔父の家に預けられていたが、叔父の家が金に困っているのを見かねて父を頼ってきたのだった。こうして十八才の彼女は造船所の食堂で働くことになった。相変わらずサンダル履きで食堂を飛び回る桃代の姿に、工員たちは色めき立った。そんな桃代にもやがてボーナスが入り、彼女は念願だった革靴を買って下宿先に戻った。下宿先には、同じ造船所に勤める大学出の美男子、中里がいた。下宿の娘である艶子は中里に惚れている様子で、それを感じた桃代は「あたしだって好き!競争しましょう!」と艶子に宣戦布告した。あっけにとられた艶子だったが、それから二人は中里を巡って何かと競い合うようになった。今日も盆踊りの輪の中で桃代と艶子の二人は中里を真ん中に、艶やかな踊りを見せつけていた。そんな桃代は「お父さんが呼んでいる」とふと工員に声を掛けられ、何の気なしに暗がりへついていってしまった。そこで桃代は工員に襲われてしまう…。

日本
製作:日活 配給:日活
1957
1957/9/8
モノクロ/91分/スタンダード・サイズ/10巻/2481m
日活
【広島県】尾道市(日立造船向島工場、尾道-向島間の公営渡船場、長江小学校下の坂道=川瀬歯科医院の前の道の設定)/三原市(糸崎駅、木原地区・民家=川瀬歯科医院の設定)