哲夫は秀才で堅蔵の高校生。しかし17才ともなれば、大人の世界に仲間入りしようと背伸びのしたい年頃。いつも学校の往復に電車の中で会う清楚な女学生にほのかな思いを寄せ、悪友の松井たちにそそのかされて、のこのこ後をつけていったり、区役所で彼女の姓名を調べたり、言うなれば目下思春期なのである。彼女の名前を富士子と知って、哲男は苦心惨憺、たどたどしくラブレターを綴ったが、茶目でおませな妹の美智子は、そんな兄をからかうのだった。その頃、哲夫の父の公平が馬から落ちて怪我をして担ぎ込まれてきた。母の光枝と共に、哲夫は心配して一生懸命看病したが、高木千鶴子という出張看護婦が住み込みで面倒を見ることになった。