夏休みを過ごすために、笙子は大学の女友達を誘って海浜にある実家のホテルへ帰って来た。彼女の許婚者の植村は家が没落して以来、卑屈な、いじけた男になって、彼女を幻滅させた。村の漁業組合の魚群発見係でヘリコプター操縦士の雨宮はキザな、蛇のような眼をした男で女泣かせでも有名だった。その彼が、派手な装いで美しい肢体の笙子に目を付けたのは当然だった。笙子の妹真沙子は雨宮を毛嫌いし、植村に味方したが、植村の意気地のなさに辟易した。ある日、兄浩一の紹介状を持って、笙子たちは附近の炭坑採掘現場へ見学に行った。そこで、真面目で親切な技師、諄吉に会った笙子は一目で彼に心を惹かれた。数日後、偶然、宴会でホテルに来ていた諄吉と再会した笙子は、飲めぬ酒を飲んで悪酔いしている彼を甲斐甲斐しく介抱しているうちに、いつしか熱い唇を寄せ合っていた…。