殺したのは誰だ
ころしたのはだれだ

華やかな世界の陰で、落ちぶれた自動車セールスマンとその子供たちが辿った運命を非情なタッチで描き、現代社会の矛盾をえぐり出す異色作品。

はげあがった額、よれよれの服、一目見ても落ち目とわかる自動車セールスマンの栄吉は、客を捕まえては必死に営業をかけていた。しかし努力も空しく、数日後には若手セールスマンの中川に仕事を横取りされてしまった。義理も人情もなく、一台でも車を多く売った者が勝者という世界。女房を亡くしてからというもの栄吉は全てがうまくいかなくなったように感じていた。そして今日もまた飲み屋のマダムに慰めてもらうのだった。一方、栄吉の子供である次郎と克子は無気力な父親に反発を感じ、それぞれアルバイトをしながら彼等だけの生活を送っていた。次郎は密輸品を売り飛ばしたりしながら日銭を稼いでいたが、母もなく父も当てにならない家庭に心は常に虚無感を抱いていた。姉の克子はキャバレーで働き、夜毎の男、夜毎の酒に溺れ、より荒れた生活を送っていた。そんなある日、栄吉は儲け話があるという中川の誘いに耳を傾ける。それは車をぶつけて保険金を取るという危なっかしいものだった。栄吉は大きく動揺しつつも、金、金さえあれば何とかなる…と心の中で何度もそう呟くのだった。

日本
製作:日活
配給:日活
1957
1957/7/3
モノクロ/91分/スタンダード・サイズ/9巻/2494m
日活
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【和歌山県】場所特定できず(紀州の海辺)