村から一寸離れたリンゴ山の掘立小屋に一人住まいの次郎がいる。彼は愛子と村でも評判の恋仲で、飲んだくれで喧嘩好きだった次郎が、すっかり堅気になって一人で山を切り開きリンゴ山にしたのも、ひとえに愛ちゃんとの結婚を夢見てのことだと噂されている。ところが、鎮守の祭があと二、三日に迫った日、突然、東京でパーマネント屋をやっているお米から「アス一〇ジタロヲツレテユク」の電文を受け取って本家のお正はビックリした。妹のルイ子に呼びに来られて、リンゴ山から戻った愛子は、言い淀むお正の口から、お米の甥の太郎と見合いしなければならないことを聞かされ愕然とした…。