サーカスという特殊な世界が舞台の異色スリラーで、復讐の鬼と化した二人の団員をめぐるスリルとサスペンスの娯楽映画!
“ブランコの龍”こと中田龍太郎は、シバタサーカスの看板男だ。彼が澄子と組んで行う得意の手裏剣を使っての大胆極まりない空中ブランコの曲芸は、至る所で人気を博していた。この素晴らしいパートナーをいつしか愛していた。団長の柿崎は彼女の恋を知って彼ら二人のためにもサーカスの将来のためにも、二人が早く結婚することを望んでいたが、今日も久しぶりにやって来た東京の夜を二人で楽しく過ごそうという澄子を龍太郎はすげなく振り払って、一人病みつきの博奕をうちに出掛けてしまうのだった。キャバレー・セシボンの地下室は賭場になっていた。胴元の拳銃の政はこの土地に巣食う悪党だ。昼間、乾分のネクタイの秀、オントの松と共に龍太郎の見事な離れ業を見て、秘かに悪事の手先に使おうと企んでいた。龍太郎は手もなく博奕に負けた。くさる彼を胸に一物ある秀がセシボンに誘う。酔った龍太郎はそこで挑発的な女・恵美子に惹かれ、彼女が政の情婦であることも構わず一夜を明かしてしまった…。