哀愁の園
あいしゅうのその

南田洋子と葉山良二の初顔合わせで、愛に生きる切ない女心を描いたメロドラマ。当時ヒットしたラジオドラマを吉村廉監督が映画化。

日東毛織の社員・速水達也は蓼科にいる母の希望で牧場を経営するため、会社を辞めることになった。彼の恋人・津村みゆきは日本橋の老舗・山一商店の一人娘として生まれ、何不自由なく過ごしてきたが、昨今の経営不振でみゆき自身も働かなければならなくなった。そんな時、達也と同窓で日東毛織の副社長である小松原道隆とその愛人・江口沙江子の乗るハイヤーが、皮肉にもみゆきの父・新太郎をハネてしまう。幸いにも軽い脳震とうで済んだが、病院に付き添った道隆は駆け付けたみゆきの美しい横顔を見て密かに邪心を起こすのだった。一方、銀座を行く達也は沙江子に会った。沙江子は道隆の世話になる中、社員の達也を慕い始めていたのである。その後、道隆は山一商店を援助し、その上、みゆきは道隆の秘書として就職することか決まった。こうして達也は「必ず待っていてください。迎えにきますから」との言葉をみゆきに残して、高原の牧場へ旅立った。東京で働くみゆきはある日、道隆の重役会出席のため箱根へ同行する。だが道隆の卑劣な毒牙にかかって純潔を奪われてしまうのだった。

 

日本
製作:日活 配給:日活
1956
1957/1/9
モノクロ/8巻/2171m/80分/スタンダード・サイズ
日活
【群馬県】下仁田町(神津牧場)
【東京都】中央区(銀座の喫茶店「らんぶる」=クリスマス・イブにみゆきと沙江子が話す場面)/千代田区(丸の内の明治屋OSSのある通り(=ラストシーン)、日比谷公園、御茶ノ水ニコライ堂前=みゆきと達也が待ち合わせをした場所)
【神奈川県】箱根町(芦ノ湖=みゆきが入水自殺をはかる場面)