泥んこになって働きつつも笑いと人情で結ばれて生きるニコヨン達の明るい人生をたからかにうたいあげたヒューマン・ドラマの珠玉篇。
東の空が白んでちぎれ雲が淡く輝き始める頃、山谷のドヤ街はあわただしく目をさます。電車の轟音を合図にあちこちの簡易旅館の窓があき、ニコヨン連中はまず空をみる。(ニコヨンとは、かつて日雇労働者を意味して用いられた俗語。)”希望館”の窓から空を仰いで嬉しそうに叫ぶのは天下の為さん、「出発!」号令をかけて真先に飛び出して行くのは元将軍。その将軍におくれじと口真似の進軍ラッパも景気よく、朝日に笑顔を輝かせながら次々と繰り出すニコヨン大隊。目指すは言わずと知れた職業安定所である。