美しい瀬戸内海の島々を背景に母なき娘と子なき母が奇しくも結ばれる人生哀話を、巡礼哀歌にのせて描いた歌謡映画純愛篇。
絵のように美しい瀬戸内海の島々、穏やかな海面を走る連絡船には観光客らに交じって白装束の巡礼者たちがいた。その中の一人であるまだ十代の娘・みどりは赤ん坊の頃に寺に捨てられた過去があり、東京の育ての親の元を離れてはるばる四国まで訪ねてきたのだった。八十八か所の札所を回って旅する内に生み親の行方を知りたいと思っているみどりは、同じ連絡船に乗り合わせた婦人・いねと出会う。いねもまた四国への修学旅行中に不慮の事故で死んだ娘の思い出を抱えて巡礼を続けていた。行動を共にする内に、みどりといねの間には本当の母娘以上の絆が生まれていく。旅の途中で知り合った学生・良夫とも仲良くなり、みどりは親切な二人に囲まれて幸せなひと時を送っていた。そんな折、ある札所の住職からみどりの母についての報せが入る…。