薩摩藩の重税と圧政に苦しむ奄美大島の島民を救うために、快男児・耶茶坊が立ち上がる!山中貞雄の再来と言われた時代劇の名手・丸根賛太郎が『地底の歌』の名和宏を主演に迎えて撮った痛快時代活劇。
時は慶長十四年。静かな、眠るが如き奄美大島の春。琉球の学問を終え、島に帰って来た真牛を迎えて、恋人の思益は胸を弾ませながら兄耶茶坊を呼びに行った。耶茶は真牛の親友で強くたくましい男だった。そして耶茶にはイマという許婚があった。耶茶の父耶太加那は村の長である。その夜村中が集って真牛歓迎の宴が開かれた。耶茶とイマ、真牛と思益。ただ楽しく嬉しい宵だったが、猪の熊が酔いにまかせて暴力をふるい出し座は白けた。見かねた耶茶は軽くこの男を制した。その時、突如近くで砲弾が炸裂した。薩摩藩の奄美侵略が開始されたのだ。島民は総力を結集して蹶起した。この力にたじろいだ薩摩藩は和解の手をのべ自治を許すことを約し和解の式がもたれたが、その式場で耶太加那は荒川三十郎のために背後から刺された。かくして薩摩の陰謀に敗れた奄美は完全に征服されてしまった。