鈴木清順が本名の“清太郎”名でメガホンを取った記念すべき監督デビュー作。青木光一のヒット曲『港の乾杯』をモチーフに作られた歌謡メロドラマで、脚本に浦山桐郎、助監督に蔵原惟繕がクレジットされている。
木崎伸吉は久しぶりに会った昔の同僚に誘われて飲み屋の暖簾をくぐると、そこには他の連中も居合わせて、お互いの無事を喜び合った。船乗りだった伸吉は、ある事件の責任を背負ったばかりに、今は魚の担ぎ屋をやっている。飲み屋の娘・早苗ちゃんは船員たちの憧れの的だが、彼女の意中の人は、伸吉の弟で競馬騎手の次郎だった。今日は次郎の誕生日なので、彼が勝ったら皆でお祝いをしようと約束していた。次郎は見事レースに勝ったが、競馬場に来ていた青山あさ子という女に誘われ、ナイトクラブに会いにいく。彼女は三沢と呼ばれるボスの女だった。次郎はその夜、ついに早苗たちのところに姿を見せなかった。その後、次郎とあさ子の中は急速に発展し、ふたりの噂が三沢の耳に入ると、三沢は次郎にレースで八百長をやれと脅迫する・・・。