発作的に妻を殺した男が死体を捨てようと車を走らせていると、ひょんなことから別の死体を背負いこんでしまう。江戸川乱歩のミステリー小説を井上梅次監督が映画化。不運が重なりどんどん窮地に陥っていく男を三國連太郎が演じる。
伊勢商事社長の伊勢省吾は秘書の晴美と不倫関係にあった。密会していたある夜、伊勢の妻が髪を振り乱し短刀を手に駆け込んできた。何とか妻を抑えようとした伊勢だったがはずみで殺害してしまう。そこで伊勢は愛する晴美との生活を守るため、ダムに妻の死体を捨てることを思いつくと、車のトランクに死体を押し込んでダムまでの長い道を走り始める。しかしとある十字路でトラックと事故を起こしてしまう。派出所で名前や車体番号を調べられたが、トランクの死体は見つからずに済んだ。再びダムへと車を走らせると、後部座席から突然手首が伸びてきて伊勢の肩に絡んだ。ぎょっとして振り返ると見知らぬ男が死んでいた。まだ警察が近くにいる場所で死体を捨てるわけにもいかず、伊勢は妻の死体と共にダムへ葬ろうとするが…。