異常なまでに、哀しくも強烈な愛情を、現代に生きる男女の群像の中に追求する異色メロドラマ。
白陽会の異色画家としてジャーナリズムに人気のある湯浅譲二は、幼くして死に別れた懐かしい母の面影を抱く西条つゆ子を心から愛していた。しかし湯浅を愛するつゆ子は、会社重役をつとめる無理解な父親、西条信光のために行動の自由も奪われて、思うように逢うことが出来なかった。思い余った湯浅は、西条家の近くに間借りして、一目でもつゆ子の姿を見ようとしたが、挙動不審の男として警察に連行されるのだった。間借りした家の主人が不安に思って届けたためである。警察では、「女の顔が見たくて」と云う彼の正直な告白も冗談としか受けなかったが、ともかくも帰宅を許されたのだった。彼の家では妻のまつ代が離婚に際しての荷物の整理をしていて、警察から帰った湯浅を見るや、冷たく慰藉料を請求するのだった。まつ代はそんな女である。愛情のひとかけらも持っていない、ひからびた女だった。その頃、西条家ではつゆ子に見合いをさせるために、父の信光が何時もの激しい剣幕で振舞っていた。妻を離縁するような絵描きと結婚して幸せがあるかというのである…。