第8監房
だいはちかんぼう

奇妙な運命の中で出会った男と女。大都会の片隅で芽生えた二人の愛情の行方を描く異色のメロドラマ。

この町に高森七郎が帰ってきた。建築の工務店で働いていた彼は金平組の政を正当防衛で刺し、しばらく身を隠していたのだった。そしてある夜、彼は黒田美智という女性と出会った。それは因縁めいたものを感じる出会いだった。というのも、戦時中に高森はある男を殺した過去があった。食料を独り占めし、それを追求する部下さえ撃った黒田中尉を、高森は部隊を救うために殺したのだ。死の間際、黒田は「妻に…子供が…」という言葉を残した。それから十年、彼の遺した言葉が高森の脳裏から離れることはなかった。その黒田の妻が美智だったのだ。現在の美智は刑務所に入っている政の女になっていた。ある日、高森は美智の部屋を訪れ、黒田中尉の遺品を渡した。しかしどうしても黒田中尉を殺したのは自分であると打ち明けることができなかった。そんなことを露も知らない美智は憂いのある高森の様子に惹かれるものがあった。そんな折、刑務所から政が出てきた。高森と美智が親しくしているのを知った政は高森を襲う計画を立てる。

日本
製作:日活 配給:日活
1956
1956/1/15
モノクロ/10巻/2427m/88分/スタンダード・サイズ
日活
【東京都】