沙羅の花の峠
しゃらのはなのとうげ
無医村に展開される心温まる挿話を素朴な人間愛を中心に描きながら、無医村の実態を広く社会に提示しようとする山村聰脚本・監督の野心作。
女子大生・竹中俊子、大学生・野口三郎、岡本茂と妹・房子、小学校教官・林英五郎と弟・邦夫たち6名は、気の合った幼な友達。二年越しの望みが叶いキャンプ旅行にやって来た彼らが、鮮やかな花を咲かせた沙羅の大木がそびえたつ峠に到着したのは、二日目のことだった。眼下にみえる二十軒足らずの村では、子供達が樽神輿をかついで騒いでいる。この村で、彼等6名にとって忘れがたい事件が起きた。子供達の神輿騒ぎが突如静まると、腹痛を起こした太助という少年がのたうち廻っていた。医者のいないこの村では祈祷師と妙な薬が唯一の救けだが、太助の痛みはますます募るとみえ、唸り声をあげている。訝しがって峠から降りて来た6名はこの有様に驚き、病院のインターンである俊子が急性盲腸炎と診断。医者を呼ぶよう説明しても、村民達は彼女をヨソ者呼ばわりして相手にしない。しかし、ますます病状が悪化する太助を前に、村人のひとり清二は、三郎、茂、邦夫たちと医者を呼びにでかけた。医者がいるという村をめざし、彼らは三手に分かれて医者を探す。一方で、俊子の説得により、村人は太助を戸板にのせて沙羅の木のある峠まで運んだ。しかし、医者がいるという村では、ろれつが回らない医者だったり、留守だったり、あるいは医者のいない村だったりと医者が中々見つからなかったのだが、時折急病人の診察をする榊原軍之進という風変わりな元軍医がいることを知った三郎と邦夫は、彼のいる中野伝吉の家に赴いた…。
日本 製作:日活
日活
1955
1955/10/11
モノクロ/113分/スタンダード・サイズ/12巻/3533m
日活
【埼玉県】秩父
【栃木県】