志津野一平は、ある日朝早く訪れた和田重蔵という初老の紳士から、シオン自動車会社を経営している彼の妻歌子の素行調査を依頼されたので、早速助手の山村秀子をその工場に行かせたが、夫人から逆に夫の調査を頼まれたと鎌倉から電話があったまま行方不明になった。秀子は、工場で図らずも夫人に誘われ、鎌倉へ海水浴に行き貸潜水具をつけて水中で遊ぶ夫人とニヤけた男を尾けている時、彼女の眼の前に急に現われた男がそのニヤけた男を殺すのを目撃し、勇敢にも犯人を追いかけているうちに捕えられて、とある小ビルの屋上のバラック小屋に権ちゃんという監視付きで監禁された。一向に帰らない秀子の安否を気づかった一平は、警視庁の浜崎警部から、殺された男が関口一郎という横浜の税管吏で夫人の愛人であることから犯行の動機は嫉妬ではないかと聞き、和田家を訪れたが、和田と対談中にかかってきた奇妙な電話のために席を外している時、和田は何者かに殺されていた…。